オンライン・アーティスト・イン・レジデンス
2021年度より,ICCではオンライン活動の新しい展開のひとつとして,アーティスト・イン・レジデンス プログラムを設けています.現実空間での展示とも連携しながら年度を通じて制作し,最終的にオンラインでの作品発表を目標としています.
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2021年度より,ICCではオンライン活動の新しい展開のひとつとして,アーティスト・イン・レジデンス プログラムを設けています.現実空間での展示とも連携しながら年度を通じて制作し,最終的にオンラインでの作品発表を目標としています.
《かぞくっち》は,現実空間の箱庭に設置された「家」と呼ばれるロボットと,その家に生息するデジタル人工生命体「かぞくっち」の家族によって構成される作品です.「かぞくっち」の各個体の情報(名前,生年月日,家系)はNFTに登録されており,売買することも可能です.また「かぞくっち」は繁殖可能であり産まれた卵にも自動的にNFTが発行されますが,繁殖が成功するためには,繁殖期にある二つの「家」が,物理的に適切な位置関係にある必要があります.
物理的なロボットの挙動がNFT(ブロックチェーン)上のアクションに反映されることや,「イエ」「家系」といった人間社会のメタファーが重ねられていることなど,《かぞくっち》にはブロックチェーンやNFTという新しい技術が社会にとってどのような意味をもちうるかや,新しい社会実装の形などについて,考えるためのヒントが秘められています.
《かぞくっち》は「ICC アニュアル 2022 生命的なものたち」展に出品され,同展来場者を含めたさまざまな人々からの反応やフィードバックも反映しながら,大幅なアップデートが行なわれました.その成果は,ICC 5階ロビー(2023年3月5日まで公開)と《かぞくっち》の公式サイトにてご覧いただけます.
Open自作の機構やロボットを用いたアート作品を制作する菅野,ブロックチェーンが新しい社会を作る可能性に着目し作品制作を行なう加藤,ソフトウェア上での群衆シミュレーション作品を制作する綿貫により,本作品を制作するために結成されたユニット.2022年9月より10月まで,ヨーロピアン・メディア・アート・プラットフォーム(EMAP)のレジデンス・プログラムの一環としてKONTEJNER(クロアチア・ザグレブ)に滞在.
《Five Years Old Memories》は,小光が知人から集めた5歳頃の記憶を元に制作された,オムニバス形式のインタラクティヴ・アニメーション作品です.日々の食事や送り迎えのときに感じていたことや,幼なじみとしていた遊びなどのエピソードが手描きのアニメーションで表現され,インタヴュー時の音声とともに再生されます.それぞれのエピソードの途中では,鑑賞者が操作を行なうことでお話が進行するポイントが用意されており,より能動的にお話を体験できるようになっています.インタラクションの種類はエピソードの内容を踏まえて決められており,お話を進めるためにどのような操作をするべきか見つけだすことも,醍醐味のひとつとなっています.
小光が幼少期を過ごした1990年代は,CD-ROMソフトが多く流通していました.そのなかでも特に子ども向けのインタラクティヴ絵本の数々に親しんでいた小光は,それらから大きな影響を受け,自身のアニメーションにインタラクティヴな要素を追加した作品を制作してきました.本作品もそれに連なる新作となります.各エピソードからは,まだ狭い範囲内で過ごす日々の生活のなかで,子どもが自身の想像力を使って自らの世界をユニークに補い,彩っていた様子が伝わってきます.鑑賞者は,自身の操作によってそれをいわば「追体験」しながら,自分の子ども時代にも思いをはせることになるでしょう.
本サイトでのVer.1.1の公開は,2024年5月7日をもって終了しました.この作品は,Steam,itch.io,AppStore での有料公開を予定しています.
Windows
1. ダウンロードしたファイルを右クリックし,表示されるメニューから「すべて展開」を選択してください.
2. 展開されたファイルの中にあるFive years old memories.exeをダブルクリックすると,アプリケーションを起動することができます.
*お使いの環境の設定(例:Windows Defender SmartScreen)によって,「WindowsによってPCが保護されました.」などのダイアログが出ることがあります.その場合は「詳細情報」をクリックし,「実行」を選択してください.
macOS
1. 解凍されたファイルに含まれる「Five Years Old Memories.app」をダブルクリックしてください.
2. 「"Five Years Old Memories.app" はインターネットからダウンロードされたアプリケーションです。開いてもよろしいですか?」というメッセージが表示されます.「開く」をクリックすると,アプリケーションを起動することができます.
1993年生まれ.アーティスト.サインペンや水彩などのイラストレーション,またそれを活かしたアニメーションを制作.2018年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了.大学院在籍中に制作した《here AND there》(2017),《Wander in Wonder》(2018)ではインタラクティヴ作品に挑戦.1990年代CD-ROMソフトをMacintoshで実演する企画「小光とあそばnight!」を、コ本や honkbooksにて不定期に開催中.
komi2.tumblr.com原田は,コンピュータ内に自身で制作した3DCGの架空の世界を立ち上げ,その仮想世界と現実世界を往来しながら,その仮想世界の中の風景を絵画作品として制作しています.今回原田は,絵画を制作する現実のアトリエを,仮想世界の中の作家のアトリエと重ね合わせました.絵画を制作する様子は随時撮影され,「オープン・スペース 2021 ニュー・フラットランド」の会期中,"公開制作"としてアトリエを模した展示室で公開されました.公開制作のプロセスはさらに仮想空間へとフィードバックし,原田が描き進めるたびに,仮想世界の風景もまた変化していきました.
オンライン展示版では,アトリエでの制作風景映像がすべてご覧いただけるほか,それぞれの制作日に対応した3DCGの世界の中を,自由に動き回ることができます.
Open現代美術家.1982年生まれ.2007年東京造形大学大学院美術専攻領域絵画科修了.2009年よりコンピュータ内に架空の世界を立ち上げ,仮想世界と現実世界を往来しながら,その世界の中に入った自分が目にする擬似体験による風景を,主に絵画作品として描くという制作を行なう.近年は,協働制作による,作品の痕跡を仮想世界の中に取り込む試みなども始めている.これまで多くの個展を開催し,海外アートフェアなどにも多数参加している.
www.ikuharada.com山形はこれまで,インターネット上でのみ閲覧できる作品を多く発表してきました.本企画ではそれらをさらに発展させ,ヴィデオゲームの形式に従った作品を発表します.ゲーム内では,植物や絵画などさまざまな物体が点在し,プレイヤーがそれらを任意の場所へ移動させることで物語が進行していきます.本作品は,今日のわたしたちの生活における物やイメージの流通,さらにそのあり方を再考するきっかけとなるかもしれません.
Openインターネットにおける画像流通や,その政治性に関心をもち作品制作を行なう.近年の展覧会に,グループ展「沈黙のカテゴリー|Silent Category」(クリエイティブセンター大阪 ,大阪,2021),個展「Fasten your seat belt」(TAV Gallery,東京,2020),グループ展『ENCOUNTERS』(ANB Tokyo,東京,2020),企画展「パンゲア・オン・ザ・スクリーン」(TAV Gallery,東京,2020),グループ展「きりとりめでると未然の墓標(あるいはねこ動画の時代)2019-2020」(パープルームギャラリー,神奈川,2019).2018年には映像作家100 – NEWAWARDSにて最優秀賞を受賞.
issei.inうしお鶏は,日常生活で発生するシチュエーションや日用品などをモチーフに,自作のマンガやアニメーションなどと組み合わせたインスタレーション作品などを制作しています.本企画では,オンライン上での作品展示という前提から,映像やマンガなど既存の手法を踏まえつつ新たなナラティヴのあり方を探っていきます.
Open1998年東京生まれ.「待ち合わせ」や「忘れ物」などの身近なシチュエーションと,そこに現われる他者の存在感を題材にし,映像や空間を用いた作品制作に取り組んでいる.イラストや漫画の制作も行なう.主な展示に.「AB」(米澤柊との二人展,新宿眼科画廊,2020).