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海野林太郎
《Eyes from the Ionosphere》2022年
《チュートリアル》2019年
《HOUSE》2021年
海野は,FPS(First-Person Shooterの略)に代表される一人称視点のヴィデオ・ゲームをモチーフにした映像作品を複数制作しています.《チュートリアル》では,作品に登場する現実の空間や人物は,プレイヤーが操作する主人公の動きに伴って生まれる画面の微妙なブレや急激な移動などを,カメラを固定した海野自らの身体を巧みにコントロールすることで,忠実に再現することでヴィデオ・ゲームそのもののように感じられます.出演者もゲーム内のアヴァターのように振る舞い,両者に備わったヴィデオ・ゲーム的身体性によって,現実とヴァーチュアルの境界が曖昧となったリアリティが表現されています.
《HOUSE》は,コメディをモチーフにしたシリーズの作品のひとつです.固定カメラによって撮影された1カットの映像は,バスター・キートンの映画「キートンの蒸気船」の有名なシーンからの引用となっています.《チュートリアル》における,ゲーム的リアリティから発展した,映画の中で繰り返されるフィクションとしての「死」と,ある種の体を張った間一髪で危険を切り抜けるアクションなどの,現実の死の可能性と表裏となった生を,実際に自身による再現を通して,現代のリアリティを獲得することを試みています.
海野林太郎 プロフィール