佐藤瞭太郎
《Interchange》2022年
《Interchange》は,「アセット」と呼ばれる,既存の3Dモデルだけを用いて制作された映像作品です.「アセット」は,インターネット上で配布されている素材データで,ゲームや映像制作のために自由に使用することができます.佐藤は,群衆シーンやエキストラとして用いられるこれらのデータをインターネットの「漂流物」としてとらえ,大量のデータを収集しています.
作品の中では,さまざまな異なるタイプのキャラクターが並列に扱われていますが,特にこの作品では兵士のモデルが中心的なキャラクターとして登場します.しかし,兵士という目的をあらかじめ指定されたモデルは,ここではただの兵士という記号でしかありません.あげく,情報の奔流に押し流されるかのように身体を変形させ,それがただのデータであったことをあらわにします.
キャラクターは自分たちの意志とは無関係に,物語に翻弄されているようにも見えながら,時折,自身の意志によって体を動かせるのではないかと自らの手を動かしてみせるのです.