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東京工芸大学は,工学部と芸術学部の2学部を擁する「工・芸融合」を特色としたユニークな学部構成の総合大学です.「色の国際科学芸術研究センター」は,2016年に設立され,東京工芸大学のルーツである写真,印刷,光学といった学問分野に根差し,工学部と芸術学部に共通する普遍的な研究テーマとして「色」を取り上げた,国内の大学で唯一の「色」の学際的な研究拠点です.国際的には,ロチェスター工科大学(米),中国文化大学(台湾),タイ王立チュラロンコン大学,東フィンランド大学など,海外の大学との連携もはかっています.色の科学は,物理学,化学,数学,心理学などの基礎分野から,画像工学,印刷工学,コンピュータ・グラフィックス,保存科学,自律型ロボット工学などの科学技術の応用分野までにわたり,さらに今日の芸術表現にも深く関わっています.写真,映像,拡張現実,プロジェクション・マッピング,CG,インスタレーションなどの,最新のメディア・アートの手法によって情報発信も積極的に行なっています.
身体感覚のプレニチュード 〜 カラーリサーチがひらくインタラクション
この展示は「ICC キッズ・プログラム 2021 チューンナップ
じぶんをととのえる」展の枠内に,東京工芸大学「色の国際科学芸術研究センター」が企画した小展示を実現したものです.内容は,東京工芸大学から,大海悠太研究室,森山剛研究室の制作した2作品,さらに特別参加として,「色の国際科学芸術研究センター」がキュレーションした,ライゾマティクス×イレブンプレイ制作による新作から構成されています.
人間の身体を宇宙と見立てる発想は,古今東西のさまざまな文化の中で見られてきたものです.本企画では,色と人間文化の関係を追求してきた「色の国際科学芸術研究センター」の成果の中から作品を選び,色が世界の調和の想像から発して,他の感覚との融合をもたらす要素になることを踏まえて,さらなる段階として,空間的・速度的表現と人間の身体とのインタラクションによって,新しい体験を感じとっていくことをテーマとしています.人間の身体を宇宙とみなす考え方は,身体がいまだに非常に多くの謎に充ち,解明されていない現象の宝庫であることを意味すると同時に,内部と外部との創造的関係によって引き起こされる多様な感覚の可能態であることを示しています.このような充満(プレニチュード)する身体宇宙に対して,メディア・アートによる新しい構想のインタラクションが投げかけられることで,五感だけではない未知の身体感覚の連鎖を発見し,楽しんでいただけたら幸いです.